Tetsuya Mizuguchi Profile

水口哲也

水口哲也(みずぐちてつや)
Tetsuya Mizuguchi
クリエイター/プロデューサー

キューエンタテインメント株式会社代表取締役
チーフ・クリエイティブ・オフィサー

1965年5月22日、北海道・小樽生まれ。クリエイター/プロデューサー。キューエンタテインメント株式会社代表取締役CCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)。ゲームの代表作として、『セガラリー・チャンピオンシップ』、『スペースチャンネル5』、『Rez(レズ)』、『ルミネス』、『N3』など。『Rez』は2002年欧州アルスエレクトロニカにおいて、インタラクティブアート部門Honorary Mention、経済産業省デジタルコンテンツグランプリ・エンターテインメント部門サウンドデザイン賞、文化庁メディア芸術祭特別賞などを受賞。2006年には全米プロデューサー組合(PGA)が選ぶ「Digital 50」(世界で注目すべきデジタル系プロデューサー50人)に選出される。また2006年には音楽ユニット「元気ロケッツ」のプロデュースを開始。音楽と映像のハイブリッドな表現を世界に向けて発信中。日大芸術学部非常勤講師、慶応大学環境情報学部大学院・メディアデザイン研究科非常勤講師、金沢工業大学客員教授。2007年度文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門審査主査。

経 歴

日大芸術学部文芸学科在学中に「メディア美学」を専攻。卒業後、創作の場を「グローバル」で「テクノロジーが変化し続ける」ゲームの分野に入り込んだ。『セガラリー』など数本の体感ゲームをプロデュースした後、音楽とゲームの融合形を数多くプロデュースする。

『スペースチャンネル5』はマイケル・ジャクソン氏が出演を熱望したゲームとしても知られている。1960年代のジャズ音楽をテーマ曲に、25世紀の宇宙を舞台に繰り広げられるコミカルでポップな世界感は、ミュージカルの持つ、歌、セリフ、踊り、笑いを取り込み、他のゲームにはないオリジナリティを醸し出すことに成功している。このゲームの主人公であるピンクヘアで奇抜な格好の「うらら」は、アメリカMTVの「MTV award 2000」のCMに登場したり、日本のJ-phone(現Softbank)の待受アプリとなったり、ゲーム以外のフィールドでも活躍した。ちなみにマイケル・ジャクソン氏は『スペースチャンネル5part2』にも登場し、宇宙放送局スペースチャンネル5の局長という役を演じている。

『Rez』は彼の存在感を世界に示す作品となった。「カンディンスキーのシナスタジア理論とレイブ体験の融合」をインタラクティブに実現しようという試みは、プレイステーション2およびドリームキャスト上において、ワイヤーフレームとトランス音楽の融合で誕生した。すべての操作音は分割された拍の上にクオンタイズされ、ランダムに押しても気持ちのいい演奏感を得られるというこのゲームは、史上初の「演奏するように気持ちのよいシューティングゲーム」となった。このゲームの音楽を担当したのは、ケンイシイ、JouJouka、Adam Freeland、Cold Cutなど。この何物にも似ていないゲームは、2001年の発売当初、驚きと困惑をもって迎えられたが、その後徐々に伝説化し、いまだに欧米メディアでの論説が絶えない。このゲームは、世界で数々の賞を受賞した。日本でも、経済産業省デジタルコンテンツグランプリ・エンターテインメント部門サウンドデザイン賞、文化庁メディア芸術祭特別賞などを受賞している。水口自身、カンディンスキーに対する思いは大変強いようで、このゲームのスタッフロールには、「Dedicated to the soul of W. Kandinsky(カンディンスキーの魂に捧げる)」という一文が挿入されている。

『ルミネス』は「音と光の電飾パズル」として、2004年、ソニーのPSP(プレイステーション・ポータブル)から発売された。水口はこのゲームを「インタラクティブ・オーディオ・ビジュアル・ウォークマン体験」と表現している。Mondo Grosso(大沢伸一)が楽曲を提供し、世界で80万人のプレイヤーを「ルミネス漬け」にした。その後「ルミネス」は日本を含む76カ国でモバイル版がサービスされ、2007年には再びPSPで『ルミネスⅡ』という続編が発売された。

欧米で先行発売となった『ルミネスⅡ』では、Beck、Black Eyed Peas、The Chemical Brothers、Fatboy Slim、The Go! Team、Gwen Stefani、Hoobastank、Junior Senior、Junky XL、Missy Eliott、New Order、Stigmato Inc などのアーティストが参加、日本からはStar Casino(大沢伸一とチバユウスケの新ユニット)、ケン・イシイ、高木正勝、Sugiuramnなどが参加し、ゲーム上における国際的なミュージックフェスの様相を呈した。また2007年2月に発売となった日本版『ルミネスⅡ』では、Def TechとRIZEが新たに参加している。

水口自身、この『ルミネス』をきっかけに、音楽プロデューサーの玉井健二とともに「元気ロケッツ(Genki Rockets)」という音楽ユニットを立ち上げている。2006年9月11日、元気ロケッツの「Heavenly Star」は世界中のインターネットに放たれ、YoutubeやMyspaceなどに飛び火し、その歌詞の内容と、ポップでハッピーな映像で話題となった。3ヵ月後の2006年12月にはSpike TV Video Game AwardのBest Music of the Yearにノミネートされ、電撃的に日米同時にiTunesでの配信がスタートした。2007年2月には、Ciscoよりアナログ版がリリースされ、7月にメジャーデビュー。7月7日に行われた地球温暖化防止のための世界型コンサート「LIVE EARTH」において、初ライブを決行。ホログラムで登場し、アル・ゴア氏を紹介するという大役を務め、その模様は全世界に伝えられた。また「元気ロケッツ」は2007年度iTunes Editor's Choiceにおいて新人賞を受賞した。

2006年末には、スピルバーグやブラックハイマーなどが所属する「全米プロデューサー組合(Producer's Guild of America)」とハリウッドの業界誌「The Hollywood Reporter」が共同で、世界で注目すべきデジタル系プロデューサー/クリエーター50人を選出し、「Digital 50」として表彰した。GoogleやYoutubeの創始者などに交じって、水口も世界の50人の1人として表彰された。その選考理由は、Rezをはじめとする、音楽とゲームの融合だった。

また2006年には9.11以降のテロや戦争、そして黒澤明の「羅生門」からインスピレーションを得て、ファンタジーを題材にした戦争ゲーム「Ninety-Nine Nights」をプロデュースした。このゲームにおいては、ゲームの途中で敵と味方が入れ替わる。反戦を掲げるよりも、実際に「それぞれの正義を体験させる」ことが狙いだったと彼は様々なメディアで語っている。このゲームはXbox360において日本で先行発売され、その後世界で発売され、話題となった。音楽ゲームとは違う彼のクリエイティビティを垣間見ることができる一本でもある。

どちらかというと日本より欧米でのファンが多い彼は、海外で過ごす時間が多い。その模様は彼のブログで伺うことができる。しかし母校の日本大学芸術学部で非常勤講師をしたり、慶応大学や金沢工業大学で教鞭をとるなど、日本での教育活動にも熱心の模様。海外での講演活動も積極的に行っている。